教室の皆さんの作品を 完成作品を中心に講師の寸評を加えてご紹介致します。12月は
「揉み紙」と言う技法の講習を致しました。こちらも合わせてご覧ください。
✷木曜日クラス
白尾さん
白尾さんは理知的に絵を創ろうとするタイプだと思います。それだけにモチーフから受けるイメージをどう絵にするか、苦労しています。モチーフから受ける感動から離れ、画面上の表現に右往左往しがちになる傾向も見られます。それでも長い時間を掛け粘り強く苦労を重ね、この作品は出来ました。絵の構成も良く練られており、地隈の色の変化もまとまって、美しい作品になりました。この形式を少し続けて追及し、より確かな白尾さんの形を創って行って欲しいと思います。
✷日曜日クラス
亀田さん
亀田さんも前出した白尾さん同様、理知的に絵を創って行くタイプです。経験も長く、色々な時期を経てある程度の自分の形も持っています。イメージに近づけようとする技術も、少しずつ身についてきました。知性派らしい静謐な、品性を保った絵になりました。抑えた深さが、より内容の意味を感じさせます。その都度自分の持った想いを、絵という形にしていって欲しいと思っています。
「揉み紙 講習 №1」
揉み紙はいつ頃から始められたものか分かりませんが 始めは工芸作品に使われたものだと思います。ひび割れた模様を作り 日本画ではそれを絵肌(マチエール)として使うようになりました。画面を全体にひび割れを作り その上に絵を描きます。ひび割れの効果が絵に一風変わった味を作ります。
① 紙の四方のふちを1㎝位残して 全体に墨を塗ります。濃さは自由ですが 濃いほどひびの強さがはっきり出ます。
② 様々な色を使うことが出来ます。粒子の無い棒絵の具の方が適しています。
③ 大き目の皿に胡粉と (下塗り用の胡粉でも良い) 膠を入れてやや固めのヨーグルト程の固さに溶きます。量が多いので指で溶くよりペインティングナイフの方が楽にできます。ペインティングナイフは錆びないステンレス製が良いでしょう。溶けたら水を加え薄めて使います。
④ 胡粉に色を加える事も自由です。写真は黄土を少し加えました。色を加える場合は粒子の細かい水干絵の具が適しています。
⑤ 刷毛が途切れず動く程度の固さに薄めた胡粉 (牛乳とヨーグルトの間位の固さ) を塗ります。
⑥ 乾いたら塗りを四~五回繰り返します。(下地の墨が殆ど消える位)
⑦ 胡粉が乾いたら 端から静かにクシャクシャに揉んで行きます。
⑧ 団子状にして静かに握り シワを作ります。
⑨ 紙を広げ シワの感じを見ながら足りないところを揉んで シワの状態を整えて行きます。
今回はここまででしたが 次回「揉み紙№2」で続きをご説明いたします。
「作品紹介 2018.・1」に第二回目の講習をご紹介致しました。